| 私の養殖日記2003/01-03 | |||
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| ●3/17 さて、その博打だが、アユ業界はここ数年、どんどん生産量が落ちている、ということは何回も書いた。確かに不景気と消費者のサカナ離れによって減産の必要性もあったのだが、実際には意志に反し、あらゆる要因がからんで必要以上の減産が続いている。モノが売れない、なんでも安売りの時代に、値上げを余儀なくさせられてしまう。商品そのものの価値が問われている。 夏場のシーズン中の不足分を補うのが、前年度の余剰分で作っておいた冷凍アユなのだが、この冷凍アユの在庫が日本中で、まったく無くなってしまったらしい。事実KFSの養魚場でも2つある冷凍庫のうちの一つは運転中止中。もう一つも、ほとんど空に近い。つまり、今年は、遅い稚アユを買って、育つのが遅れて販売時期を逃してしまっても、とりあえず凍らせて冷凍庫にしまっておける。生産調整は来年の課題、ということになると考えた。 日本中のアユ屋さんが、同じことを考えると、ちょっと大変なことになるが、今、稚アユを買って、来年の春夏まで換金できずに冷凍庫に商品を寝かしておくことができるアユ屋さんは少ないだろうと、私はふんだ。 アユ養殖は博打だが、人生は博打ではない。 ●3/16 今朝、今年2回目の海産稚アユが入った。 駿河湾の稚アユ漁は、2月と3月のみ許可となり、採歩捕尾数も制限されている。もちろん養殖業者としては、少しでも早い時期の稚アユがありがたい。それでなくても、人工モノや琵琶湖産が11月、12月にも手当てが可能なので、なおさらだ。だから2月に採れた分には、注文が殺到するが、3月も中旬を過ぎると、今更、買っても、アユが良く売れる8月までに商品サイズまでに育つかどうか・・・ということで人気はイマイチだ。海水温が上がってくるので、病気を持っている可能性も高くなる。 時期が遅れるなら、かえって、もっと遅く、6.7月に稚アユが入手できれば、11月頃まで養殖して冷凍モノを作れば二毛作ができるので、話は変わってくる。かつては、この遅い種苗を琵琶湖産の稚アユが担っていたのだが、最近では、その琵琶湖産稚アユが、まったくの不調で、全国でアユの生産体制の大きなマイナス要因となっている。 そこで、今年も景気が悪く、アユが売れなくなっている以上に、生産量が減るだろうと予想して、この遅い海産稚アユを買うことにした。 昔から、アユの養殖は、博打だと言われる。 私が唯一やる博打だ。 ●3/10 フィッシュポンプの構造は、専門家ではないので、よく判らないが、バラしてみるとアンモナイトを彷彿とさせるような外殻とツブガイを思い起こさせるローターから成り立っている。それをじっと見詰めていると、なるほど、これならサカナが傷つかないわけだ・・・となんとなく納得してしまう。野球のボールなんてガンガン吸い込みそうだ。このポンプがインバーターと組み合わさって、揚水(揚魚?)能力を連続して加減できるようになっていて、日本中の養魚場の腰痛持ちのオーナーの強い味方となった。 このフィッシュポンプは、このように便利この上ないのだが、縦横無尽に使おうと思うと、専用の100mm径のホースが、あまりにも重い。ホースを移動するだけで腰痛が再発しそうだ。 KFS北1.2号池の後ろ側にある4つの養殖池の中央を、オレンジ色の太いホースがのたくって(標準語?)いるが、あれが問題の品だ。さかなの移送作業の度に、あのホースと挌闘しなくても良いように、要所にはホースを置きっぱなしにしてあり、必要に応じて、ジョイントで接続して使うようにしている。 各釣り池への放流もアレでやれば簡単なのだが、そこら中がホースだらけになってしまう。 ●3/9 海産稚アユが、近くの海でたくさん獲れ、安かった頃は、養殖池に入れても翌日には淡水にしてしまい、それで生き残ったアユだけを飼えば、充分に利益が出たし共食いも気にしなかった。ましてや選別なんか考えもしなかった。しかし、次第に収益が上がらなくなってくると、節約すべき経費のトップに稚魚代が上げられて、それと共に選別の重要性にも気が付いた。 20年前は原始的な方法で選別したので、10%以上のサカナが死んでしまうことも当たり前だった。それでも選別すると最終的な歩止まりや、飼料効率の向上は明らかであった。なんていったて管理が楽になった。 現在では、っていうか15年くらい前にフィッシュポンプっていう、サカナを傷つけずに水ごと吸い上げてしまう便利な機械が普及したため、吸水(吸魚?)側のホースを養殖池の排水のところに入れ、全てのアユを池の水ごと吸い上げ、ほかの池に設置しておいた網生け簀の中に移動して、選別する。ほとんどの場合、刺し網状態になることもなく、完璧に選別できる。 繊細なシラスアユから、30cm300gのレインボーまでサカナに傷を付けることなく、吸い上げて移動できるポンプ・・・どんな構造になっているのか考えてみて下さい。 ●3/8 共食い防止に一番効果的なのは、誰でも想像するように、アユを大小に選別して、別々の池で飼うことだ。 で、選別はサイズによってだが3−6mm位の目の網でできた箱生け簀に稚アユをいれれば、網の目を通られる小さい個体は池に、おおきな個体は網生け簀に残ることになる。そうやって選別すれば、大きさに合ったエサを与えることで、さらに成長に加速が付くし、アユの匹数も把握できる。良いこと尽くめなのだが、針みたいに小さなシラスアユを、どうやって傷つけずに網生け簀に移すかが、最大の問題になる。さあ、どうやるのでしょう・・・? 選別は海から買って来て10日位してから行なう。すぐにやれば、いいじゃないか、と思うかもしれないが、稚アユは海で何日も畜養されていたり、輸送時のストレスもあり、弱っていると思われので、貴重な海産稚アユをいきなり選別する気にはなれない。もちろん輸送後、すぐに大小に分けられれば、その後の飼育が簡単なので、今後の課題ではある。 ●3/7 なぜアユは共食いをするのか・・・答えはハラが減るからだ・・・ろう。養殖池に入れられる直前まで、海で動物性のプランクトンを食べていたアユだから、ムシや極小のサカナの稚魚を食べていたとしても不思議ではない。だから、海でも共食いをしていた、と考えるのが妥当だろう。彼らとしては、その続きを養殖池の中でもやっているのに過ぎないのだ。 共食いを防止するためには、エサをたくさん与えることだ。なんだ、簡単じゃんか、と思われるかもしれないが、彼らは養殖池に入れられてから、初めて配合餌料というモノを口にするのだから、すぐにはハラいっぱいは食べてくれない。どうしても、いままで食べていたプランクトンやシラスアユが恋しくなってしまう。そこで自動給餌機を使って、長時間エサをまく。丸い養殖池に水車を回すことによって流れをつくる。大き目のアユは本能で流れに逆らって、流れの速い外周を泳ぎ、給餌機から出てくるエサを食べる。小さなアユは流れがほとんど無い、中心部に集まる。ここにはエサが届かないので、大きなアユは、めったにやって来ない。 大きなヤツらが外周を流れてくるエサを食べるのに夢中になっているスキを狙って、中央に集まっている小さなアユに、より栄養価の高い、高価なエサを手でまいて与える。これはゲリラ的にやる。なぜなら、大きなヤツらに気付かれると、ヤツらがシラスアユの大群の中に飛び込んで来てしまうからだ。だから、自動給餌機は使えない。 あくまでも秘密裏に行動しなくてはならない。 もちろん、共食い防止に一番有効なのは、大小に選別して別々の池で飼うことだ・・・これが、難しい。 明日に続く。 ●3/6 意外かもしれないがアユは共食いは、けっこう、すごい。 パニッシュ55Fアユカラーくらいのアユがマッチ棒を細くしたようなシラスアユなら、パクパク食べてしまう。口からシラスアユのしっぽを出したまま泳いているすがたを見ることは、珍しくない。一池に10万匹以上も入っているのだから、少しくらい食われたって・・・て思うかもしれないが、もし、1000匹のパニッシュが1日に3匹づつのアユを食べたら、1日に3000匹、1週間では、2万匹が減耗することになる。もちろん、これは極端な例だが、共食い対策は重要だ。では具体的にはどうするのか・・・? 考えて見て下さい。答えは掲示板へ。 レインボーの場合はアユよりは肉食?だから、さらに共食いが激しいと思われがちだが、養殖の場合、スタートがタマゴからなので最初から配合飼料を与えるし、大きさが同じで成長差も生じにくいので、被害は少ない。それでも、アユよりは口がデカくて、貪欲なので自分と、ほとんど同じサイズの仲間を口に入れて、苦しそうにしているのを見ることがある。 ●3/5 先月、入池した海産稚アユは順調に大きくなっている。入った時には、0.2g−2.0gとバラつきがあり、小さい個体のために海水が必要だったので、毎日トラックで一台づつ海から海水を汲んできた。最初の仕事は餌付け、となる。 今まで海で毎日プランクトンを食べていた稚アユに、ペレットを細かく砕いた、粉末状のクランブルを食べさせようというのだから、そう簡単ではない。水車を回して、水流を少し付け、自動給餌機で少しづつ長時間エサを出し続ける。稚アユが集まっているようなところには、エサを手でまいて与える。多くのエサが無駄になるが、とにかく目の前に流れて行って、アユが気付いてくれるように祈る。 稚アユが極小のシラス状態でカラダが透き通っていると、高級な?オレンジ色っぽい初期餌が胃腸に入ると、その部分 がエサ色に変わり、人工のエサを食べ始めたことが判る。アユは社会性があるのか、一部の個体がエサを食べ始めると餌付けは一気に進む。3日目くらいには、自動給餌機の前に3割位のアユが集まり、盛んにエサを食べるようになる。ただ、この頃になると、大きな個体が小さなシラス状のアユを食べてしまう・・・つまり共食いにも注意しなくてはならない。 ●2/28 さて、その北1号池が排水できなくなった理由だが、いろいろ検討した結果、どうも、こういうことらしい。 あの池は昨年、正月に釣り池となる前は、昭和30年代後半に造られた養殖池として、活躍してきた。 特にレインボーのように、水がたくさん必要なのに単価が安いサカナを作るための養殖池は、電気代節約のため、揚水のための電力を少しでも減らせるように、、かつ建設費を押さえるために、施設全体を低く造らなくてはならない。しかし地面に穴を掘っただけでは、排水のための落差がとれな上に、洪水の時に濁流が池に流入してしまう。で、最適な高さで池を造るわけだが・・・もっとも昔のことだから、だいたいではある。ご存知のように平地を流れる川の底は、だんだん浅くなるので、余裕を考えないで造られた池は、何10年後かには、川の水位が高くなり排水できなくなる。 そんな事だろうと思っていたが、今回は違うようだ。どうも釣り池に改造する時に、施設と川の間にあった、点検用の升、マンホール??を潰してしまったらしい・・・そう考えるのが妥当なようだ。もう重機はは入れないので、人力で、なんとか掘り起こそうということになったが、どうなることやら・・である。 ●2/26 今日は北1.2号池の向こう側にある養殖池で、3倍体ドナルドソンの大小の選別を行なった。この寒い中、3時間も水の中に入って・・・もちろん、ウェーダーを履いてだが・・・もっともらしく仕事をした。1.5kgのレインボーを2000kgという注文だから、2つの養殖池から、その位の大きさのレインボーを、1500匹、選ばなくてはならない。1.5kg40−50cmのレインボーといえば、一番パワーがある。カッパを着ていても、水をかけられ頭からビショビショだ。まさしくサカナとの挌闘である。これと比べれば、KFSで100匹釣るなんて・・・ 平日ではあったが、大勢の方が釣りに来られていたので、、この光景を見ていた方もいたはずだ。きっと、養魚場の仕事だけはイヤだな。と、思ったに違いない。かつて、夏の忙しい時に、アルバイトに、この選別の仕事をやらせると、即、やめてしまった。 最近では、養殖池の中に入って、水に濡れながらする仕事は、以前の10分の1にまで減った。これは生産量が3分の1以下にまでになったこともあるが、あまり大きさを揃える必要がない顧客との取り引きだけが残ったから、ということもある。 機械化、合理化して、この作業を無くさないと、養魚場に未来は無い。 この3倍体ドナルドソンは2001年7月に北海道から発眼卵として入荷し、来週、岐阜や長野で消費される。 ●2/25 先日、海稚アユが入った。今年は不漁で、あまり採れていないらしい。養殖用のアユの種苗には、大きく分けてビワ湖産、海産と、レインボーのように人間の手によって人工ふ化されたモノがある。最近ではビワ湖産が病弱になってしまたので、海産、人工産に人気が集まっている。現在、養殖するには海産稚アユが一番適していると思われる。当然、みんなが欲しがるわけだが、一番、供給が不安定で時期が遅いのも、海産稚アユである。しかも、海と川の漁業法や利権が絡むので、ややこしい。静岡県の場合、静岡県内水面漁協が管理して順番に分けるのだが、菓子を分けるように簡単にはいかない。 優先順位があるので、まずは漁協関係が放流のためのアユを確保する。それが、ほぼ充足すれば養殖業者にも、廻ってくるのだが極端に不漁の時には、目の前の沼津の海で採れているというのに一匹も買えない年もある。必要量を事前に申し込んでおいて、採れたら順番に分けてもらうという配給制度が、資源保護のために、今でも残されている。どうせ、たくさんは採れないだろうと、余分に申し込んでおいたら豊漁となって、養殖池が溢れそうになったこともあった。良い種苗にあたる、悪いモノをつかんでしまうは運だ! この運で、一年間の成績が決まってしまうのだから、神にも仏にも祈るし、みんなが必死になる。 で、今年は良いモノが一口、入ったので安心したが、こうなると、もっと欲しくなる。 ●2/11 2002年大晦日に韮山町のアユの養殖池に運で、高温養殖されていたレインボーのふ化稚魚20万匹は、昨日、無事にKFSの養魚場に運ばれた。20℃の水で40日間以上、飼育されたことになる。養殖魚は適正温度内なら、水温が高いほど、餌をたくさん食べて、飼料効率も良くなる。つまり早く育つと言うことだ。レインボーは日本中で飼われているので各養魚場の水温は、特に冬の場合大きな差がある。山奥で河川水を利用した所では、2−3℃まで下がってしまうところも珍しくない。KFSのように年間を通じて14−18℃というのは希だ。ましてや20℃でレインボーを飼っているところを私は知らない。 昨日、運んだレインボーの稚魚は20万匹で250kgあった。平均魚体中は1.25gとなる。餌付けから40日間で1.2gまで成長するというのは、トラウト養殖の経験者ほど信じられない数字のはずだ。生まれたときは、0.05−0.08g程度のはずだったから、40日間で15倍に成長したことになる。これが水温10℃だったら、2倍以上の日数が必要となるし、4℃以下だったら成長は期待できない。 じゃあ、水温が高い程、圧倒的に有利じゃん、って思われるだろう。ところが世の中は上手くできていて、水温が高い程 溶存酸素が少なくなり、サカナをたくさん飼えなくなる、というハンデが生じる。しかも、日本では水温が高い水は、多くの場合、地下水であるので、揚水のために電気代がかかる。レインボーは値段が安いので、餌以外の経費は極力、押さえなくてはならない。 だから良質の地下水で飼っていても、山奥の零細な養魚場に負けることがある。 ●2/6 レインボーの養殖で一番被害が大きいのが、IHNというウイルス性の病気だ。1g以下で発生すれば80%以上、5gでも60%以上が死んでしまうことも珍しくない。で、レインボーの養殖の歴史は、このIHNを、いかに押え込むか であったとも言える。20℃以上の水温で飼う、というのはIHN対策としては画期的であったが、あの単純な?白点病で多くの施設がつまずいてしまった。 いまのところ白点が一粒でも付いたサカナが発見されたら、全滅へまっしぐらだ。サカナの様子が変だな・・・あ、白点? ガクゼンとして全滅まで1週間だ。今のところ、高水温で発生してしまうと、有効な治療方法がない。白点の活動が止まる28℃まで水温を上げたら、サカナが先に死んでしまう。逆に水温をレインボーが好む12℃位まで下げられれば自然治癒する可能性もあるが、現場では、どうにもならない。つまり白点による被害を防ぐには予防しかないことが判る。 白点病に限らず、魚病の予防には、隔離、消毒、清潔が基本だ。トラウトの場合、注水量は多いほど有利だが、私の場合、アユの養殖施設を利用しているので注水量は極端に少ない。そして注水量もだが換水率も重要となる。同じ水量でも換水率を高くするには、養殖池の水位を下げ、池の水の量を減らせば良いのだが、その分、サカナの放養密度は相対的に高くなってしまう。このあたりは経験によってバランスをとるしかない。池の水全体が淀み無く回転し中央から静かに排水されるような工夫も必要だ。残餌や排泄物が中央に集まるように水流を強くしたいところだが、生まれたばかりの、ふ化稚魚には強すぎる水流は、激しいストレスとなる。 何回もの失敗を繰り返して、今では安定して生産できるようになったが、いくら作っても売れない時代になってしまった。 この技術を30年前に修得していれば、大儲けだった・・・・もしかしたら施設を拡大し過ぎて、行き詰まっていたかもしれないが・・・? ●2/5 KFSの養殖池でなく、韮山町にあるアユの養殖池でレインボーのふ化稚魚を育てるのは、20℃以上の飼育水で3週間以上、飼育すると、ウィルスに対する免疫力が高まる、という試験結果によるものだが、簡単そうで難しい。 一番厄介なのが、金魚や熱帯魚を飼ったことがある方なら、ご存知の、白点病だ。白点病の原因となる原虫の大きさは1mm以下で大きなサカナに寄生しても、たいしたことにはならないが、0.2−0.5g位のふ化稚魚に寄生すると、多くの場合、全滅に至る。熱帯魚や金魚なら水槽が小さいので、水温コントロールや塩水浴など効果的な治療もできるが、直径11mのコンクリート池では、それも難しい。ましてや、レインボーにとっては上限の20℃、夏場は限界を超えた23℃で飼っているので、体力が落ちていて白点にやられてしまう。 アユ用の20℃の養殖池で、少しでも長く飼って免疫力を高めたいのだが、長く飼えば、それだけ白点病の感染の危険性が増す。 私が15年前、レインボーの高温養殖を始めた時は、10万匹単位で何ロットも全滅させた。アマチュアでも良く知っている白点病だが、限界に近い状況の中での発生は恐ろしい。 ●2/4 1月18日に入荷した24万粒の発眼卵が順調に、ふ化し、餌付けができる状態になったので、韮山の養魚場に運んだ。みんなが好きな3倍体ホーライの、ふ化稚魚だ。現在、体長10mm、体重0.1g以下。これが65cm、4kg以上になるのには3年近くかかる。今、3号池で時々釣れるスーパーホーライは、2000年の正月に入荷した卵が育ったヤツだ。自家生産でスーパーホーライをコンスタントに釣らせるには、綿密な生産計画を実行できる技が必要だ。もちろん、24万匹のホーライ全部が4kgに育ってしまったら、1000トンもの量になって溢れてしまう。この中で、そこまで育って、3号池にデビューできるのは、ほんの数千匹だ。それ以外は成長の途中で、他の釣り池に放流されて、なんだ、ちっちゃいじゃんか、とか言われたり、他所の釣り堀に売られて、なんだ斑点のない変なレインボーだ、なんて言われる。 大晦日に韮山の養魚場に運ばれた、別のレインボーのふ化稚魚20万匹は、その後、順調に育ち、現在0.8g、25mm位にまで成長した。私が手鍋に餌を入れて、近づくと一斉に集まって来る。20万匹ものレインボーの稚魚がシッポを振って集まって来るのは壮観だ。この頃の稚魚は手の平で簡単にすくえる程、素直だ。彼らは今年の秋には25cm以上に育って、釣り池に放流され、ルアーに見向きもしないスレたオトナレインボーになる。 ●2/3 見ていた方もいたかもしれないが、昨日の日曜日午前中、あの寒い中、3号池の後ろの養殖池に入って、・・・もちろんウエーダーとカッパを着用してだが・・・1−2kg、40−50cmのレインボーを選別した。私は子供のころから、真冬でも大人達が池に入って仕事をするのを見ていたし、自分が働くようになってからも、それが当たり前のことだったがKFSを開設して以来、そういうことをしていると、釣りのお客さんが、寒いでしょう、大変ですね・・と言ってくれる。いくらウエーダーとカッパを着込んでも、手は軍手だし顔には水がビシャびしゃと掛かる。想像しただけで、寒そうだ。 が実際には作業中は、ほとんど寒くない。水温が15℃位あるので、池に入っている間は暖かい。からだも動かしているので見た目よりは暖かい。外で風に吹かれている方のが寒そうだ。氷点下で釣りをしているよりマシだ。 しかし、これが池から出てフォークリフトで、サカナを運ぶ時は、凄く寒い。早く池の中に戻りたい気分だ。 河川や湖の放流が近くなると、寒い中、そんな仕事が増える。見た目ほどは寒くないが、もちろん暖かい方が好きだ。 ●1/29 今年も、ついに来るべき日がやってきた。 KFSから10km程北にある、静岡県内水面種苗センターにアユの稚魚を買いに行ってきた。過去にも何度も書いたが、ここ7−8年、アユの養殖は、まったく難しくなった。以前は新年最初のアユの稚魚が入るのは嬉しかった。なんてったって糸みたいな稚アユが、どんどん餌を食べて、大きく育ち、4ヶ月後には、お金になるのだから。途中で死んでしまう、なんてことは、まったく考えなかった。最近の様にアユを飼うことが難しくなってしまうと、仕事が、まったく苦痛になってしまう。それでも以前はトラウトが順調に売れ、経営的にも余裕?があったので、精神的には、さほど追いつめられることもなかったのだがトラウトがダメになってくると、アユの失敗は経営全体の大きなダメージとなってしまう。本当にアユを養殖する価値があるのか、アユをやめても結果は、あまり変わらないんじゃないか・・・なんて自問自答の世界に入り込んでしまう。 で、ここ数年、アユは安全第一、儲からなくてもいいから、大きく損をしないように、生産量は3分の1にまで減らした。 養殖に限らず、日本中がこんなだから、ますます景気が悪くなる。 ●1/17 東名高速で、ウナギを積んだトラックが横転、ウナギが道路に逃げ出して、おおさわぎになったとか。 他人事ではない。 淡水魚、特に単位が安いレインボーやコイを運ぶ業者は、利幅も少ないので、トラックに金をかけられない。 普通のトラックに鉄材とキャンバスで作った水槽を載せ、それで運ぶのだが、外気温の影響を受けやすいので、短時間で運びたい。しかも、単価が安いものは、一度にたくさん運びたい。サカナは水槽にたくさん入れると、水質がすぐに悪化して、死んでしまう。だから、もっと急ぐことになる。 水は、慣性の法則に忠実だ。特に、カーブの出口では、揺り返しがあって、ドッキリすることもある。渋滞もこわい。 悪条件がそろっている。実際、事故も多いようだ。 KFSの活魚トラックは、大型も2トントラックも、断熱材を挟んだグラスファイバー製の水槽を積み、水が揺れないように工夫してある。大型は、液体酸素も積むことができる。 ところが、サカナが売れなくなって、あまり走ることがない。 ●1/11 サカナを養殖するという仕事は、途中で失敗すると、双六でいうところの、3コマ戻る、ではなく振出しに戻ってしまうことだ。例えば現在、私が住んでいる韮山町の養魚場には20万匹のレインボーの稚魚がいるが、私がKFSで釣りをしている間に揚水ポンプが止まったりしたら、全滅する。また発眼卵を購入するには、時間が掛かり、大きく育てても売るタイミングを逃す。振出しに戻るどころか、戻って10回休む・・・なのだ。自宅がある養魚場は小さいがピーク時には、100万匹を越すアユやレインボーの稚魚を飼っている。前記したように、非常に神経を使うが、あまり責任感が強いヒトは疲れてしまう。 KFSで会うと判るように、私は大変に神経質で、ご存知のように責任感も強い!!なのにサカナを飼う仕事を25年以上も、できていることが不思議だ・・・もしかしたら、まさかそんなことは、ないだろうが鈍感なのかな・・・?って思うこともある。 ただひ、ひとつ教訓めいたことを言えば、日々の管理、時間単位の観察を怠ると、そのツケはサカナの病気や金銭の損失となって、自分に降りかかって来る。そうなれば、かえって仕事が増えるし、儲からなくなって精神衛生上もよろしくない。 結局、それらを毎日、怠けないようにやることが一番楽だ、・・・と諦めた・・・いや悟った。 そのうち、いいことがあるさ。でも、この双六にゴールはあるのかなあ? ●1/9 久しぶりに日守山に登ってきた。2002年は11月8日までに、190回登り、年間200回の目標は簡単にクリアか、と思われたが、ウズベキスタンから帰国後、何か力が抜けてしまって、まあ、それでも12月に10回登れば、いいんだから簡単さ、って油断していたら、あっというまに年末になり、とうとう一回も登らずに2003年となってしまった。最後に登ってから、ちょうど2ヶ月が経ってしまった。自宅とKFSの途中にある日守山は、海抜わずか183mの山で階段が約1000段ある。慣れてしまえば往復22−23分なので、お手軽だ。 こういう事は毎日となると、なかなかできない。ところが仕事で毎日、3回サカナにエサをやとなると、たまには忘れるが自分でも不思議な程がんばれる。これは、仕事だから、お金が絡むからだろうか?健康のための山登りだとしたら長生き、命がかかっているはずだ。普通、健康の方が大切なはずだが・・・これは数値に表れないから、できないのかもしれない。例えば、今月は20回登ったから20日間長生き、とかはっきりしていたら、日守山は満員だ 雨の日も風の日も、毎日、日守山に登っている方が何人かいる。そういうヒトが養殖をしたら、凄いのかもしれない。 サカナは特に、ふ化したばかりや稚魚の時には、ちょっとした手違いで、大損害となる。生き物は死んでしまうと後でどんなに、例えば3日間徹夜でがんばっても、とりかえしが付かない。このプレッシャーに押しつぶされて、業界を去るヒトも多い。あまり生真面目でもダメらしい。 ●1/6 12月14日に購入したレインボーの発眼卵、20万粒は予定通り、大晦日に韮山町にあるアユの養殖場に運ばれた。大晦日にこんなことしているのは、日本でも私だけだろうな、と思いながら、忙しない年の瀬の道路を活魚車で走った。が、もっと大変なふ化稚魚の餌付け作業は、元旦から始まる。普通トラウトの餌付けは、0.5mx4m位の細長い水槽に、5万匹づつ位の、ふ化稚魚を入れて、1日に5−6回、少しづつ時間を掛けて餌を与える。排水のフィルターの掃除もしなければならないし、正月にやるには大変な作業だ。 私のところでは、10年前から、直径11mのアユの養殖池をそのまま使って、一度に30−50万匹の餌付けを一度に行なっている。餌を食べられずに落ちこぼれてしまう個体が出ないように、上記のような小さな水槽で手を描けて、というのが未だに常識となっているが、私の方法でも何ら問題はないようだ。それどころかアユ用の自動給餌機が、そのまま使えるので、さらに効率的だ。ただし、朝イチと最後の餌は私がサカナの様子を観察しながら、手で与える。日中は3回、自動給餌機がまわる。 だから、KFSが忙しい正月休み中も、毎日、朝早くから夕方までKFSに顔を出すことができた。ただ、日が短い冬のこと、帰宅すると、既に真っ暗なので、夕方から19時頃までは水銀灯を点灯して、その明かりのしたで餌を与えることになる。 |
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