| 私の養殖日記2002/01-03 | |||
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| ●3/26 同じく2月18日と24日に約60kg入池した極小だった稚アユを選別した。大きい方が平均魚体重6gで520kg、小さい方が25gで250kg、トータルで770kgと、約13倍に増えた。こう書くとアユってどんどん大きくなって
もうかるんだろうなって思う方もあるでしょう。 最近は、あまりたくさん作っても もうからないので、ひと池あたりに入っているアユの量が少なくて、最高の条件の中で養殖できるので、効率がよいのです。 現在アユは、ひと池あたり200〜300kgしか入っていなくて、余裕で泳いでいますが、これが800kgを超える頃から苦しくなってきます。もちろんその頃には アユも大きくなっていて、稚魚期と違って 魚体重の3〜4%しか食べなくなってしまいます。また、いくらひと池にたくさんのアユが入っていても、注水量が一定なら 与えられるエサの量には限界があり、私のところでは40kg/日です。したがって、ひと池に1500kgのアユが入っていても、40kgしかエサを与えられなければ、給餌料は2〜3%となり、思うようには大きくなりません。 ●3/25 3日前、2月24日に入池した海産稚アユを 大小に選別した。 入池したときは、大きさが0.3〜3gと非常にバラつきがあった。総量は約50kg。このまま育っていくと、ますます大小の差が開き 効率が悪くなってしまう。このロットは、稚アユが大きかったので、素早く淡水に切り替わることができたので、よく成長した。26日間で、エサを240kg食べた。大小の選別の結果、大きい方が平均魚体重10gで180kg、小さい方が目測だが 5gで120kgといったところか。ちょうど6倍に成長したことになる。31日間飼えば、7倍にはなっていると思われる。 アユは水温が高いほど、成長が早い。21℃の私の池では、これくらいが限界だろう。これ以上がんばると、ある日突然、スイッチが切れたように死んでしまうこともある。これ位の大きさの時に選別して、大きさ 数を確認して、予想できる販売量、時期を考えながら、順次育てていく。 何でも作れば売れた時代は、とにかく早く大きくした方が勝ちだったが、最近では近回りに高く売れる分だけをタイミングよく育てて行く技術が必要だ。たい焼き屋さんが、お客さんが来るのを予想して、焼きすぎず 待たせず 焼きたてのたい焼きを売るのと似ているかな? ●3/21 畜産業でも養殖業でも、経費の大半を占めるのがエサ代だ。どちらも他の経費としては、人件費や設備費・電気燃料代等だが、現実的に1番値切りやすく 支払を滞らせやすいのもエサ代だ。 エサ屋さんも、店子である養魚場を 、支払いが悪いから 内容が悪そうだからといって、支払を迫って 潰してしまっては、元も子もない。また、養魚場に モノを買ってくれなんて 頭を下げてくるのは、エサ屋さんくらいなものだから、なんだか知らない間に親しくなってしまう。 先に書いたように、いくらエサを養魚場を納めても、養魚場がサカナを上手に育てて、うまく売ってお金を回収してくれないと、真っ先に倒されるのは、エサ屋さんだ。そういう訳で、エサ屋と養魚場は、運命共同体のように言われることもあるが、養魚場は 家族的規模の経営であるのに対して、エサ屋さんは大企業の系列の一部だったりするので、我々がこんなにもためてしまっていいのだろうかという金額も、回収不能金として 始末してしまうつもりで、売り込んでいるのだろうかと思うこともある。反面、普通だったら こんな業界から手を引くだろうと、私などは思うのだが、やはり系列ということで、なんとなくやっているじゃないかと思ったりもする。 最近は さすがに整理統合がすすんで、懐かしいエサメーカーの名前がどんどん消えている。 いずれにしても、内水面養殖は、コイ・ウナギ・アユ・トラウト どれもすごい勢いで 縮小しつつある。 ●3/20 狂牛病で、肉骨粉が使えなくなった畜産業界が、チリやペルーの魚粉を使い始めたので、魚粉の価格が上がってしまい、養殖魚のエサも値上がりすると以前書いたが、最近の円安もあって、ついにそれが現実のものとなりそうだ。値上げ巾は かなり大きく10%以上、レインボーの場合生産原価の半分以上がエサ代なので、今までより5%以上も 経費がかかることになる。だからといって、トラウトの売り値を5%アップできないところに、私たち業界の辛いところがある。 エサやさんは、いくつものメーカーが同じ時期に同じ巾で 値上げを通達してきて、1枚岩のように結束が固い。ビールやガソリン業界と同じだ。ところが私たち業界はここでがまんすれば、お客が自分のところに流れてくると期待して、値上げできないところも出てくるので、いつも養魚場が企業努力ということで、コストアップを吸収することになる。 今日のエサやさんとの昼ご飯を食べながらの話では、あそこの養魚場が倒産した、どこどこの養魚場が閉鎖するらしい。そんのばっかりで、エサもだんだん売れなくなるとうことだ。水産物がどんどん輸入される現在、輸入魚粉に頼った構造の日本の養殖業が成り立つはずがない。 そろそろ養殖業を根本的に見直すところにきている、なーんて暗い気持ちでKFSに戻ると、なんと村田基さんがハデハデで来場していた。このギャップこそ、最後に残された養殖業復活のシナリオかもしれない。 ●3/19 例えば、トラウトの稚魚のフ化には10℃以下の冷たい水が良いとされている。成魚を飼うのは15〜16℃位の水の方が餌料効率も良く成長も速い。発眼卵なら軽トラックでも100万粒位運べる。移動が安心な5g位の稚魚なら、4tトラックで7〜8万尾の輸送も簡単だ。これが300g位の釣りに適した成魚となると3000匹位が限界だろう。 現在、栃木や茨城の主要釣り堀地帯?の周辺にある養魚場でも、卵や稚魚まで一貫生産している。ここへある程度の大きさの稚魚を運び、成魚のみ作らせ、そこから各釣り堀に配達すれば効率的だ。効率的というのは、コストダウンにつながるから、放流量も増えるかもしれない。 しかし、これだと静岡や山梨の大きな養魚場は 困るかもしれない。そこで、余剰の養殖池を釣り掘りに改造するのだ。これで、さらに釣り堀が増え、釣りが盛んになり、トラウトの消費も伸びる。釣り人だって楽しい。 この方向に行かなくては、総崩れになってしまうのは 判りきっていることなのに、業者同志で、今だにライバル意識を持って生産量を競っている。今や同業者がライバルなのではなくて、他のレジャー産業がライバルなのだ。 衰退していく産業には、頭脳も資金も集まらない。まあ、そんな業界だから、私がちょっとしたアイデアで、お客さんを集められるのかもしれない。 ●3/18 今日は午後から、先日来られた社長さんの大手養魚場へ見学に行ってきた。 ちょうど例の社長さんもいて、また暗い話になってしまった。天城山から流れてくる河川水を利用した大きな養魚場で、レインボーを中心にイワナ・ギンザケ等を飼っている。稚魚から一貫生産しているが、どの池もサカナがぎっしり入っていて、調子も良さそうだ。しかし、合い言葉は「売れないね、安いね」だ。これだけ順調に養殖できていても もうからないというところに、内水面養殖業の構造的な欠陥を感じる。 私のところでも、発眼卵を購入して、稚魚から3kg以上のスーパーホーライまで 作っている。 日本中の大きな養魚場から 山の中の小さな養魚場まで、ほとんどが同じやり方だ。本来なら、卵を作るのが条件的に合っているところは卵を、稚魚作りに良いところは稚魚を、成魚をたくさん作れる大きな養魚場は 稚魚を購入して、大型魚作りに専念すれば、効率も良くなる。 トラウトの業界は、他の産業と比べて、規模が非常に小さいうえに、全国の山の中に散らばっていて、統率がとれない。 しかし、今のままでは、行きつく先は 決まっている、闇の中だ。 分業することによって、生産効率は上がり、人手も少なくて済む。他の業界は そうやって拡大してきたが、実際、この業界は不可能とも思える。でも、できなければ、やっぱり衰退の一途だ。 ●3/16 最初の海産稚アユが入池して 1ヶ月が過ぎた。 糸の様に細く透明だった魚体も、大きいモノは2g位にまで成長して、ひとめでアユと判るまでになった。自動給餌機によって30分づつ1日4回送風機によってエサが蒔かれるようになっているが、給餌の時間が近づくと 給餌機の前にアユが集合している。すっかり養殖魚となってしまった訳だ。 この時期は食欲がすごくて、ペレットを砕いて細かくしたクランブルを魚体重の10%位食べる。クランブルは乾燥エサだから 生エサに換算すると 40%位となる。体重60kgの人間にたとえれば、1日20kg以上食べることになる。こうなると、アユといっても食後はコイのような体型になっている。消化も早く 腹が平らになって再びアユらしくなった頃、また給餌機からエサが出る。まるで長時間飛行機に乗って無理矢理食べさせられているかのようだ。養殖池のアユは、24時間流水に逆らって泳ぎっぱなしなので、これでもいいのかもしれない。 もちろん、常に目一杯エサを与え続けると、前にも書いたように サカナの病気は消化器系の不具合からくるといわれるように、必ずつまづく。 判っていてつまづくから、我ながらバカじゃないかと思うこともある。 ●3/11 4日前、日本でも大手の養魚場の社長さんが来られた、といっても すぐ近所なのだが。7〜8年前は 生産量経営規模共 良きライバルであったが、私は6年前に養殖場の一部を壊し KFSを併設し、大量生産 効率重視の舞台から降りた。あの時点では、この業界は鮮魚の市場出荷は順調、ルアーフライのブームもあり、トラウトは作れば売れる状況であった。もちろん私のところでも、レインボーイワナを作れば どんどん売れ、アユも順調で、経営内容もとても良かった。何がきっかけで 私がKFSを始めることになったかは、いつか書くことにして、私はとにかく事業の縮小に力を入れていた。金のかかった養殖設備を金をかけて壊し、経営効率の悪そうな釣堀を 金をかけて作っていた。同業者も身近かな人間も呆れているのが、よく判った。 結果的に、それが正しかったかどうか まだ判らないが、あのまま大量生産を追求していったら、今頃は確実に潰れていた。先の社長さんと話していて、つくづくそう思った。 将来を見極めるのは難しい。後になって、あの時こうしておけば、と気づくのが人生だ。しかし、あの時というのが、今、この瞬間かもしれない。今ここで、変えなければ 手後れになることがあるのに、気づかずに 漁場調査をやっているのかもしれない。 ●3/9 サケ科のサカナの養殖には、IHNという ウィルスによる恐ろしい病気が付きまとう。レインボーでいえば 養殖中にこのIHNによって30%以上が死んでいると思われる。昭和40年代に発生して、それ以後のレインボー養殖は、常にこのウィルスとの闘いだった。IHNをコントロールできた業者は儲かり、できないところは どんどん落ちていった。私のところでも大変な苦労のあげく、平成4年度より高温養殖というあまり前例のなかった方法で、IHNを封じ込めた。このことは、養殖日記に何回か書いた。 昨日、アメリカからIHNの権威という学者が、これまたこの業界では知らないヒトがいない東京水産大学の佐野名誉教授と来られた。アメリカでも、レインボー養殖の要は、IHN対策という。KFSのように いろいろな方が訪れる。しかも、古い設備の養魚場で、IHNを克服しているのに、かなり驚いた様子だった。 KFSのサカナが元気な秘密のひとつに、このIHNをクリアした技術がある。 ●3/1 水が少なくなると、養殖池では 外気温の影響を受けやすくなる。 特に、山からしぼり出てくる沢の水を使っている養魚場では、養殖池に流入する前に、 外気に長い間触れているので、さらに変化が激しい。夏なら20℃を超え、生存限界まで上がってしまうこともあるので、深刻なことは想像つくだろうが、冷水に強いトラウトのこと、冬は関係ないかというと そうでもない。冬でも 日中陽がある時間帯は、それなりの水温になるし、サカナも太陽光線を受けて、わずかであっても熱を吸収しているはずだ。サカナの体温は、水温とほぼ同じと考えられるので、特に消化器官は、水温が高い時ほど 活発になる。つまりエサをたくさん食べる。そして水温が高い日中に、サカナが満足するだけのエサを与えてしまうと、夜になって水温が下がった時に、消化不良を起こすことが考えられる。養殖魚の病気のほとんどが消化器系への負担が原因といわれる。 注水量が減ると、病気は出やすいというのは、水質の悪化という点はもちろんだが、上記のような事もあるので、注意が必要だ。こういうとき、ベテランはエサを少なくしたり、昼過ぎにはエサを与えないようにするのだが、とかく養魚場のオーナーは 早くサカナを大きくしようと、いつも通りエサを与えて 失敗する。 ●2/28 地下水が急に減り始めた。 去年の11月頃は、秋としては異常と思える程多かったが、その後徐々に減り始め、ここ10日程で一気に1m50cmも低下した。KFSの前にある農業用水池も みるみる水位が下がり、この週末に来られる方は きっと驚くはずだ。 あの池、丸池というのだが、いくつかの湧水ポイントがあり、私が子供の頃は まさに ここから川が始まっていた。水はどこまでもクリアで、底にはきれいな水草が生え、小魚もたくさんいた。KFSと同じ15℃の湧水なので、冬は外気温との差で湯気がもうもうと立ち その湯気の向こうに真っ白な富士山が見えた。その中を小学校へ歩いた想い出がある。 丸池の水位は、この辺りの湧水の水位と言える。KFSの水源は 丸池よりさらに1〜2m低い。だから丸池の湧水が止まっても、KFSには まだ水が湧いてくる。 しかし、このままいくと、この春は かなりの渇水を覚悟しなくてはならない。水が少ないとサカナの育ちも悪いし、病気も出やすい。釣り池も汚れやすい。5月のゴールデンウィークの頃には、富士山の雪解け水が湧いてくる。それまでは、サカナの管理も 釣り池の管理も、気を使う。 ●2/27 2月14日に池入れした海産稚アユは、順調にエサを食べて育っている。中には まだ糸のように細く透明なシラスも多くいるが、からだ全体をウナギのようにくねらせて泳いでいる。0.5g位まで育って、上から見ると 金色の筋が入り サカナらしくなった個体は、水車によって流れが生じている池の外周を必死に泳ぐ。餌付け開始から3日目位で、自動給餌機での給餌を主にしているが、最近では もうすっかり養殖魚になってしまった彼らは、1日5回給餌機から放出されると、すぐに集まってきて 水面が盛り上がる勢いで、エサを食べている。 しかし、水の流れが弱い池の中心部には、その仲間に入れず、エサにありつけないようなシラスがいるので、彼らには、相変わらず細かいエサを手でまいて与える。海産稚アユはここまでくると、あとは手が掛からない。順調にいけば、大きいモノは5月中旬には50〜60g 18cm位に育ち、売りものになる。 芦ノ湖の解禁にむけた放流も終わり、ちょっと楽になる。 現在 私のいる韮山町の分場には、レインボーの稚魚が30万尾アユの稚魚が40万尾位いるが、問題は、これらが大きくなった時、利益が出る値段で売れるかどうかだ。 ●2/26 3倍体というと、成熟しないで大きくなるので、寿命も長いと勘違いする方もいるが、寿命は 普通のマスと同じく3〜5年だ。 普通のマスは3〜5年と書いたが、養殖レインボーの場合、400〜500g(30〜35cm位)で 秋を迎えると 成熟して、その冬には死んでしまう個体が出る。そこを乗り越えても、翌年の冬には同じ危機が待ち構えている。つまり養魚場内でも、3年以上生きることは まれということだ。しかも、養魚場としては そんなに長く飼うメリットはないので、数でいえば8割を1年以内に、残りも2年以内に売り切るのが基本だ。 だから、普通のレインボーでも3倍体でも、実際には何年生き続けるのか、確かめたヒトは少ないと思う。ただし、卵を採るために育てられている場合、レインボーに限って言えば、卵を産んでも半数以上は 春には若返り、その年には再び卵を持つ。それで4年間ほど 飼われることは めずらしくない。それでも 4才で卵を採ると、さすがに死ぬ確立が高くなり、それ以上は飼わないようだ。この頃には、レインボーも体長が60cmを優に超える。しかし、KFSのスーパーホーライ等とは、体格身質も根本的に違う。 見た目もワイルドで、釣り人が喜ぶので、各池で スーパーレインボーとして 最後の仕事をする。 ●2/25 2週間前にKFSの養魚場に入荷し フ化した3倍体ホーライマスの稚魚を、今朝 私が住んでいる韮山町の養殖池に運んだ。ここで、20℃の水で餌付けし、1ヶ月位育てて 再びKFSの養殖池に戻す。もうすでに ご存知の方も多いと思うが、ウイルスに対する免疫を持たせるのに効果が実証されている高温養殖のために、このような手間のかかることをする。 現在 KFSを泳ぎ回っているスーパーホーライは、2年前の今ごろ 餌付けしたものだ。卵から2年間であの大きさまで育つのは、普通の養魚場より1年は早い。これは、途中で病気をさせないことと、1年を通じて水温が安定し水がきれいだからだ。 それにしても 製品を作るのに2年間もかかるという事を、みなさんは どう考えるでしょうか。在庫を置かない、仕入れはジャストタイムが原則の世の中にあって、2年先を考えて 卵を購入する。農業でさえ 収穫に2年もかかるモノは あまり無いはず。この事実が、私たち業界を構造的に弱くしていると言えます。例えば、誰かがこの仕事を始めて、もし でかレインボーを育てて売ろうと思ったら、最初の2年間は収入が無いということです。今の世の中、2年先の事なんか判りません。 ということで、KFSのでかホーライは、2年もかかって育てたサカナです。優しく扱ってやってください。 ●2/19 今日も、朝4時に海水を1台運んで、9時には芦ノ湖へレインボーを配達して、昼には海産稚アユの引き取り、その後海水 と、大忙しだった。その間に池そうじをしたり エサをやったりで、目がまわる。 海産稚アユは、2日間直径6m位の網イケスに入れられて、港のすみに置いてある。その間に 採捕のときに傷ついたアユや雑魚の一部が死んで、輸送できるようになる。船着き場にイケスごと運ばれ、ステンレスのザルで4〜5kgづつ計って トラックに積む。たくさん採れる時は、1日に数百万円にもなるので、漁師も業者も真剣だ。ザルで水を切って計るといっても、完全に水を切ることは不可能だ。あまり水を切ると、稚アユが傷んでしまうので 難しいところだ。 また、フグ・オコゼ・イワシ等の雑魚も多いので、高い買い物の割には けっこういい加減になってしまう。先日 イケスの中に、70cm位のシーバスがいた。あっ、シーバスだ!と言ったら、何 都会人みてえなこと言ってるんだ、スズキじゃんか と言われた。最近ちょっと釣り人っぽくなっているようだ。しかし このシーバス、アユだらけのイケスの中で、何万円分のアユを食べたことやら。 ●2/17 アユが共食いというと、意外な気がする方も多いと思う。 天然種苗は、大小の個体差が大きいま採捕され 入池してくる。ひどい時には 0.2〜3g なんと10倍以上の差があるままひと池に10数万匹のアユが泳いでいることがある。こういう時は 大きい個体は意外と餌付きが悪く、池の底をいっぱしに成魚のようにナメてみたり、腹が減ると小さなアユを食べてしまう。口からしっぽを出して?意気揚々と池中を泳ぎまわる姿は よく見る。共食いというのは養殖にとって、けっこう深刻な問題だ。なぜなら大トビ(群れの中で特に大きいのをこう呼ぶ)1000匹が毎日1匹づつ小さなアユを食べたら、1週間で7000匹が減耗することになる。この連中も、配合飼料の旨さを覚えさせれば おちつく。もちろん物覚えの悪いヤツもいるので、1回目の選別は 早めにやりたい。 フィッシュポンプ(サカナを水ごと吸い上げるポンプ)で、稚アユを吸い上げ、1M X 2M 深さ1M位の網いけすに入れると、小さな個体は網目をすり抜けてしまい、大きな個体は いけすに残される。もちろんこれは、別の池に水を張って行う。大小を分けてしまえば こっちのもので 、大きいヤツには大きいエサ、小さいヤツには小さいエサを与えられるので、効率もよくなり、一気に大きく育つ。もちろん 共食いもしなくなる。 ●2/16 池に入れた稚アユには 配合飼料を与える。魚体が小さいので エサも粉のように細かく、成分も高級らしい・・・まあ、価格が高いので そう判断するわけだが。 きのうまで海でプランクトンを食べていた稚アユは、簡単には配合飼料を口にしない。アユには 通常 自動給餌機を使うのだが、この時は様子をみながら 手でエサをまく。最初は指でつまんでパラパラまく程度だ。ちょっとまいては、じっとアユを見る。ほとんどのアユが無視して通り過ぎる。そのうち 一匹がエサを口にした。おっ食った!(釣りみたい)仲間にも これがエサだと伝えておくれ。アユは社会性があるのか、何匹かが食べ始めると、餌付けは一気に進む。アユのシラスは透明で、茶色の配合飼料を食べると、胃から腸にかけて茶色になる。つまりエサが透けて見える。たからエサを食べているかどうかを確認するのは簡単だ。3日程すると、自動給餌機も使う。給餌機のまわりにアユが集まるが、なかには 池の隅でウロウロとエサを食べずに泳いでいるアユもいる。これらには、さらに手でエサを与える。 この時期は、落ちこぼれがでないように、エサを多めに与える。したがって 残餌が池底に溜まることもある。ある程度の塩分濃度を保たなければならないこともあって、注水量は最低量しかないので、水質を悪化させないことに、気をつかう。 ●2/15 駿河湾の稚アユの多くが、沼津の沿岸で採捕される。秋に狩野川で産卵 フ化し 海に流され、そこでマッチ棒くらいに育ち、河口に集まる。春に狩野川に上るために、浸透圧の調整や 川が適水温になるのを待つためといわれる。そこを、特別採捕許可を持った漁師が採り、それを静岡県の鮎種苗センターや狩野川漁協、民間業者が買う。もちろん資源保護のために、上限枠が決められている。 海を泳いでいるサカナを、淡水の池に入れるのだから、真水に慣らせる必要がある。池に20トン程真水を入れ、それにトラック1台約6トンの海水を汲んでおく。海水と淡水の割合を4対1〜5対1にしておくのだ。海から稚アユを運ぶ時の活魚水槽も これ位の海水濃度にしておく。不思議なことに、この時の塩分が濃いと死んでしまう。買った稚アユが、金筋といって カラダに金色の筋が見える大きさなら、そのまま1日かけて淡水を注入して エサをどんどん与えればよいが、現実的には、糸のように小さな個体もたくさん混ざっている。その小さいものまで育てようと思うと、何日かは ある程度の塩分濃度を保たなくてはならない。海産稚アユは、それが手間なので、かつてはあまり人気がなかったが、最近では、病気が少なく育てやすいので、ひっぱりだこだ。 ●2/14 きょうは、海産稚アユが入池した。 以前にも書いたが、稚アユには、ビワ湖産・海産・それに人口フ化によるものと 大きく分けて3種類ある。私のところを含む静岡県東部のアユ養殖業者は、駿河湾で採れる海産稚アユとともに発展してきたといえる。10年ちょっと前までは、ビワ湖の稚アユの需要が圧倒的に多く、駿河湾の海産稚アユの重要度は さほど高くなかった。それが ビワ湖産が病弱になり、養殖や放流に適さなくなってくると、この海産稚アユのありがたみが判った、とともに、放流事業が優先され、民間業者には まわってこなくなってしまった。また、なぜか採れる量も減ってしまった。 とにかく、ここ数年 アユの養殖はむずかしい。この不景気でアユも売れなくなったが、それ以上に生産量の減少の方が著しいのではないかと思うほどだ。 私も今年のアユの養殖はどうしたものかと早期の種苗を 例年の4分の1位にして 時を待っていたが、今年は駿河湾の稚アユが豊富で、きょう 私のところにも まわってきたということだ。これを育てて売れるのか儲かるのかは、今の景気では判らないが、少なくとも 飼う苦労からは 少し解放される。今日入荷したのは、わずか42kgだが、平均魚体重0.3gとしても、10万匹は軽い。 なんとなく 気持ちが軽くなった。芦ノ湖の放流も始まり、しばらく忙しくなります。漁場調査も しばらくは満足にできません。 ●2/7 こういう時 どういう理屈で塩が効果的なのかは判らないが(まあ、浸透圧の関係だろうが)劇的に効く。この症状は、サカナの調子が良くて、エサをどんどん食べて 定量を与えてもまだ ほしがるので、ちょっと余分に食べさせるか 早く大きくなればもうけだし なんて調子にのって4〜5日多めにエサを与えると出る。 養殖は 早く大きくすれば、その分の電気代 人件費が少なくなるので、エサを与えすぎることは よくある。限界スレスレ且つ飼料効率の良いエサの与え方ができるのが、サカナ飼いがうまいといわれてきた。しかし、最近 サカナが弱くなったのか、エサが悪くなったのか そのような考え方、つまり限界に挑戦的な飼い方は、必ず失敗する。優秀なスタッフに給餌量を守るようにさせるのは、割と簡単かもしれないが、経営者はどうしても先ほどの電気代 人件費 早く育てて金にしようという考えがあるので、余分にエサをやってしまう。私などはその典型といえる。 過食は、ヒトでもサカナでも、全ての病気の根元だ。たまに、こういうことがあると、しばらく初心に戻る。でも、すぐ忘れる。だから倉庫にはいつも塩を1000kg位積んである。 今回の過食の犠牲は、1.5g位のレインボー6kg 4000匹。治療費は塩150kg 6000円。 ●2/6 12月の初めに発眼卵で購入し、KFSでフ化後、韮山分場に運ばれたレインボーは、50日目を過ぎ 大きさは1〜2gに育った。長さで3cm位かな。20℃以上の水で1ヶ月飼うと、レインボーの最大の病気 IHNに対して免疫ができ、その後の成育が楽で、しかも健康的なサカナができるというので、私が10年前から実用化している技だ。KFSのレインボーがやたら元気なのは、実はここに秘密がある。 それはさておき、今回は20℃で2ヶ月の飼育に挑戦してみようと、いつもより長期間飼っている。もう いつ限界が来てもおかしくない状況である。限界とは、サカナが育つことにより 総魚体重が増え、給餌の直後 酸欠になったり、それを繰り返すことで エラ病に陥ったりして、また ストレス等で エサを与えても大きくならなかったり、病気で減耗していくことを言う。 今朝、朝イチで サカナを見たら 元気がない。エサが残っている。よ〜見ると エサぶたが少し開いている。ヤバイと思っているうちに、みるみるサカナが 水流の弱い池の真ん中に集まり始めた。完全にエラに障害が出ている。注水量を最大にするとともに、水位を下げる。つまり換水率を上げる。その後 水位を20cm位に下げ、注水を止める。塩を150kg程投入。2時間放置。注水。昼には元気になり、夕方には エサを食べる。しかし、こういうことがあるということは、限界に来ているということだ。 ●1/24 きょうは、午前中 釣り池のそうじをした後、20km程北にある 静岡県内水面鮎種苗センターに、稚アユを買いに行ってきた。ここで、卵から(正確には 親からか?)育てられた 俗に言う人工フ化の稚アユだ。 去年は、九州のダム湖で採れた稚アユを年末に入れたが、結果があまり良くなかったので、今年のスタートは、人工フ化と決めていた。 一番最初に池入れするアユの善し悪しで、その年の成績が決まる。なぜなら、最初の稚魚が病気もせずに どんどん育って、早く売れてしまえば、2番手、3番手が大きくなって、養殖池が混んできた頃に、順番に池が空いてきて、サカナを分養出来るから、後口のアユも、より順調に育ち、全部のアユを需要に合わせて、売りきることができる。逆にいえば、最初につまづくと、その年は どうがんばっても、ダメな事もある。 ここ3年ばかり、どうも この最初のアユでつまづく。 全国的な状況は、あまり良くないようなので、今年は考え方を変え、もし一番手が調子悪くても、ダメアユで養殖池が いっぱいになってしまわないように、一番手は少な目に入れ、様子を見ながら、安全な2番手を多めに入れる作戦とする。 ●1/21 久しぶりに本格的な雨となった。 私たちの仕事は、養殖にしろ釣り堀にしろ 外での作業が多い。で、カッパを着るわけだが、アウトドアレジャー用には、新しいデザイン素材がどんどん使われて、動き易く快適な雨具が開発されているが、養魚用のカッパは まったく進歩がない。養魚用(かどうか判らないが)のカッパで重要なことは、袖口から水が入らないことだ。養殖池に入って、引き網を使ってサカナを捕る時や、水に入って選別等の作業をする時、普通のカッパだと、袖口からザブザブ水が入ってきていまう。で、私たちが使うカッパの袖は、手首にピッチリした生ゴムでできていて、水の進入を防いでいる。なぜかスピードジャンパーという名称で、40年前の養魚場の写真を見ても、同じカッパを着ていたから、戦後ずっと同じ材質デザインで 作られているのだろう。分厚い黒いビニールで、ボタン止めという 超クラシカルなカッパだ。もっと、軽快なカッパは出来ないのかと、いつも文句を言っていたが、昨年、突然この黒く重いカッパが製造中止となった。きっと今時、雨の中や水に入って仕事するヒトが少なくなって、販売量が減ったということだろう。で、いろいろカッパを試したが、どうしても袖口から水が入って、服が濡れてしまう。結局、分厚いネオプレーン製のカッパを買ったが、水の浸入は完璧に防いでくれるが、重くて動きにくくて、暑い。袖口だけ ネオプレーンで出来ていて、他はゴアテックスなんてカッパ、ありませんかネ。 ●1/9 では、シオミズツボワムシの培養は、どうやるのだろうか。27〜28℃位で 1%の人工海水に、ワムシを入れ、エサとして パン酵母を与えると、1週間で数十倍に増える。一部を残して、サカナに与え、少し残ったワムシを また増やす。一見簡単なようだが、うまく増える時と まったく増えない時がある。当時から、アユの人工フ化のキモは、ワムシの培養にあると判っていたので、私は板橋にある某酵母会社の研究室に 1週間泊まり込んで、ワムシの培養方を学んだ。しかし、試験室レベルでは培養できても、大量に作ろうとすると うまくいかなかった。アユの人工フ化の設備には、大変なお金がかかる。ワムシの培養の可能性に自信がなかったので、アユの人工フ化からは 手を引いた。ちょっと残念ではあったが、今考えてみると、いくら設備をしても、私のウデでは できなかったと思う。もし、無理にやっていれば、設備費・維持費がかさみ、本体の経営にも 大きく響いたはずだ。 ●1/8 アユは1年魚である。12月か1月に最初の稚アユを池入れして、スタートする。 養殖に用いられる稚アユには、大きく分けて3種類、人工産・ビワ湖産・海産がある。 10年前までは、ビワ湖で採れる稚アユが、全体の80%以上を占めていたが、ビワ湖の汚染が原因かどうかは分からないが、年々アユの病弱化が進み、代わって台頭してきた人工産にシフトしてきた。 人工産とは、昨日書いたように、人間の手によって 人工的にフ化させた稚魚だ。トラウト類では、当たり前になっている技術だが、アユに関しては、まだまだ問題が多く、できれば扱いたくないというのが、養殖屋の本音だろう。 アユの卵は、トラウト類と比べて小さい。当然フ化稚魚も小さく、最初の飼料として、シオミズツボワムシというプランクトンが必要になる。最近配合飼料も研究が進み、良いモノが出てきたが、アユの人工フ化が成功するかどうかは、相変わらず このワムシの安定培養にかかっているようだ。 ●1/7 今日は午後から 、新年のあいさつがてら、 KFSから10km程北にある 静岡県内水面漁業協同組合のアユの種苗センターに行って来た。 裾野市に25年位前に出来た アユの人工種苗を生産している施設だ。各池の水温をコントロールするボイラーによる加温設備、各池に強力な ろ過装置を備え、完成した当時は、工場のように見えた。ビニールハウスに覆われたその21面の養殖池と、4面の大きな露地池、さらに14面の小さな池で構成されている。 ここで生産されたアユは、マッチ棒位の大きさになると、各養殖業者に売られていく。さらに数百万尾が、タバコ位までに育てられ河川放流される。ここは 補助金やいろいろな優遇措置があるらしいが、公営の水産試験場等と違って、サカナを作って売ることによって、ある程度の利益を出さなくてはならないと聞く。だから、スタッフも民間の養魚場と同じように働いている。いやいや、試験場の方が働いてないということではないよ。まあ、そういうことだ・・・?4〜5年前から、ここの場長に高校の時の同級生が、なった・・・こんな時世に・・同情いたします。 |
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